TDA1554AQステレオアンプ自作記                                                                             

        TDA1554Qフイリップスのキットを使ってステレオアンプを製作しました。幅25cm奥行き23cm高さ7.5cmのコンパクトなサイズに収まりました。
        音質は中高音の潤いがあり低域の表現も遜色なく、なるほどの表現力です。発熱量が少ないのが一番の特徴で設置場所を選ばない優れものです。総重量2.0キロです。    


 

 

 
 




仕事中も陶芸教室の間も朝から夕方までラジオかCDを鳴らし続けており連続運転に耐えるアンプが
必要で夏と冬の温度差にも耐え得る頑強さが求められます。

パソコンアンプTDA7052STD 1Wx2の音質に惚れ込んで再び、
品質の高さと回路設計の確かさで評価の高いaudioworksさんの基板キットを購入しました。
今回も同様に裏と表の二重の配線基板です。部品点数が少なく維持管理が容易です。
(試聴した結果、コンデンサーは二個とも三洋のOSコンに入れ替えました。中低域が膨らみました。)

電源部は同じくaudioworks製「PS15V07」。電解コンデンサーは25V6800μF×4。
15Vを供給します。

 

   

ケースはタカチ製「CH8-25-23GS」です。
アルミの側板に灰色のアルミダイキャストのパネルが前後ビス止めという仕様です。
ケースの底部と内部の仕切り板(2mm厚のアルミ) には1mm厚の真鍮板を貼り付けています。
張り難い部分は真鍮粉を人工漆に溶いて金継ぎの要領で筆塗り仕上げです。

TDA1554Qはリード線をペンチで曲げ基板の裏側から取り付け、
タカチ製C型銅版「C−11」厚3mmに固定しました。1枚の銅版100mm×200mmを
金切のこで三分割したのでIC放熱用100×75、スイッチ部70×40、ロータリースイッチ及び
ボリューム部に125mm×60mm。(アルミの3mmと比べて強度があり加工は手間がかかりました。)
純銅は酸化され易く、みるみる変色してしまうのが欠点ですね。

ICを基板にハンダ付けしたらルーペで細かく確認する事が必要です。
試運転ではハンダがマズくて高域が濁ってしまいました。再度ハンダこてを当てたらOK。
慎重に作業を進める事が肝要ですね。

ICに純銀99.9のシリコングリス(パソコン組み立て時に使用した高性能グリス)を塗り銅板に
ネジ止めしていますが商品説明のようにシャーシに固定しただけで十分のようですよ。
IC

 

 

LEDは定格2.8V,定格電流20mAのものをマックエイト社の「パネル用LED取付ブラケット
(PZ−3−1.5アオ)に差し込んで内部の3mm銅版に前面から埋め込んで固定しました。
この取付ブラケットは2mm以上の厚みには不適合なので挟み込み方式での固定は出来ません。
フロントパネルにはLEDの先端部だけを切り落として貼り付けていますので間接照明方式です。

LEDに流す電流はaudioworksさんに教授して頂いた値が10mA。
朝日が差し込む夏に合わせて15mAを選び抵抗値810Ωを現在は使用しています。
フロントパネルに直接LEDを固定する場合は1.2KΩが良いかもしれません。


信号ラインの配線には噂によると”ファントム戦闘機に使われているとかいないとか"という頑丈な代物です。
電源周りはベルデン16番とモガミ2515。2515は透明を黄色・白色に塗って三色に使い分けています。


シャーシの足はタカチ「TC−2G」に3mm厚のスペーサーを噛ませて取り付けました。
放熱器3mm銅板の熱が本体下部からも可能なように細工しています。


IC基板からスピーカーターミナルまでの距離が20cmと長くなりましたから

カナレの4S6・径6.4mmの四芯・ 太いケーブルで引き回しています。

 
 

ロ ータリースイッチは東京光音2R6の2段6接点。
業務用に使用される堅牢な作りです。10年以上も前から毎日酷使していますが、頑丈そのもの。
しかし切り替えさせる時は硬さを感じます。「よし切り替えるぞ。・・よし切り替わった!」という具合です。

アッテネータはセイデンP型抵抗切替。
多摩電機オーディオ用金属皮膜抵抗EF1/4WFが23個×2。
抵抗誤差1%以下で左右連動誤差は 極小と言われるだけに精度は上々です。
音質は透明感が印象的でツマミを回すたびにクリック音が秀逸です 。

延長シャフトは6mmアルミ棒。幾度も寸法合わせしても誤差が出ますのでタイトカップリングを噛ませると
ブレが吸収されて快適に回ります。加えて6.1Φの軸受けをフロントパネルに取り付けると完璧です。


   
   
 
CSD  0.68μF
 

■結果
@コンパクトな仕事場BGM用のアンプが完成しました。メリハリがはっきりした艶のある音質です。

 カップリングコンデンサーをAUDIO MANIAさんのCSDコンデンサー 0.68μFに交換しましたところ、
 低域から中高音まで眼が覚めるように変化しました。これには驚きました。
 0.47μFよりも少し重いような低域が増した感じです。
 16cmの小口径のスピーカーを鳴らしているので丁度良い具合です。
  まるで別のアンプが鳴っているようです。エージングを一週間した後も抜群の音質です。
  コストパフォーマンスという言葉以上の効果でした。 (音質と比べ,価格の安さにも仰天です。)

カップリングのコンデンサーに御悩みの時は試してみる価値がありますよ。

A予想以上に発熱が微量で3mm厚の銅版が大げさでした。工作のし易さから言うと1〜2mmでも
 十分過ぎると思います。室温30度で連続運転4時間で電源トランスも温まったかな?という程度です。
Bやはりアナログ式は効き疲れしないので重宝しています。
Cセイデンアッテネータは50KΩです。8〜9時の位置で十分な音量、11時まで回すと近所迷惑。

     
  カナレGS−6+F09  

RCAケーブルにはカナレCANARE CABLE GS−6を使用しました。外形は5.8mmです。
中心導体はOFC細線127本と径が1.3mmもある信頼性の高い太さです。音質の差が出るのは
この太さでしょう。安価なケーブルの3倍の細線の太さです。
単線なので2本を糸で数箇所を結束してダブルに纏めました。

和光テクニカルSR−4NCuの無鉛ハンダを使ってみました。
通常の無鉛ハンダと違って融点が低く使い易くて仕上がりが綺麗です。

RCAプラグも同様にカナレFー09。
耐熱性抜群でハンダの熱にもびくともしません。信頼のカナレですね。
プラグの先端をマジックインクで赤く塗り分けて区別して使用しています。

■結果
@市販の安価なケーブルと比べて音の情報量は4〜5割増しました。
 (今まで使用していたケーブルが如何に悪かったのが良く分かりました。)

 かなりの音質改善が計られます。
 全ての楽器がキチンと表現してくれるようになりました。

  システムの入れ替えを計画する時は、その前にカナレのケーブルを試してみることをお勧めします。
 大幅に改善した音が楽しめますよ。
 
 

   
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